エンジンオイルには、その物性を表す様々な性状項目があります。ここでは、その代表的なものを紹介したいと思います。
油剤は熱せられると蒸気を発生し、蒸気の空気に対する濃度が一定範囲の量になった時に近くに火種があると引火し燃焼します。
このときの引火する最低温度を引火点と云います。引火点の測定方法としては、クリーブランド開放式(COC)、タグ密閉式(TAG)、ペンスキーマルテンス密閉式(PM)が代表的であり
但し40℃での動粘度が5.5mm2/s以上又は、25℃での動粘度が9.5mm2/s以上、試験条件下で油膜のできるもの、懸濁物を含む場合には適用できません。
エンジンオイルの場合、クリーブランド開放式を用いて測定し200℃以上の製品が多く存在します。
液体が流動(流れる)とき、流れに逆らうような摩擦力が液体の内部に生じます。
動粘度は、液体が重力の作用で流動するときの抵抗の大小を表します。単位はmm2/sとなります。
粘度指数とは潤滑油の温度による粘度の変化の度合いのことで40℃と100℃の動粘度から計算により算出します。
粘度指数の数値が大きいほど温度による粘度変化の小さいことを示し、粘度特性に優れるといえます。
1932年E.W.DeansとG.H.B.Davisによって提唱され、パラフィン基原油であるペンシルバニア産原油からの潤滑油は粘度変化が少なく、これを粘度指数100,一方ナフテン基原油であるガルフコースト原油からの潤滑油は粘度変化が大きく、これを粘度指数0として粘度指数の計算法が提唱されました。
計算の基本は,両系列の潤滑油について、100℃の動粘度から40℃における動粘度が簡単な近似二次式によって推算できることを利用しています。現在ではJlS K 2283によってケース分けをしながら算出方法が定められています。
油剤は、冷やされると次第に粘性を増し、水が氷になるように固まります。流動点は試験管中の油剤を徐々に冷却していき、2.5℃刻みで試験油の流動性を観察し、結果は固まった温度の2.5℃上の温度を流動点とします。
油剤中の酸性成分並びにアルカリ成分量を測定する試験項目となり、
TAN:全酸価が酸性成分を
TBN:全塩基価がアルカリ成分を測定する項目と成ります。
油剤中に含有される金属元素の含有量を測定する試験です。原理としては、試料を霧状にして、アルゴンプラズマ(約6000~8000℃)に導入し、試料中の元素を熱エネルギーにより励起します。
励起された元素の軌道電子は基底状態から高いエネルギー準位の軌道に移ります。
この軌道電子は10-7~10-8秒程度で、より低いエネルギー準位の軌道に移ります。
この際にエネルギーの差を光として放射し発光します。この光は元素固有の波長(スペクトル線)を示すため、スペクトル線の有無により元素の存在を確認することができ、更にそれぞれのスペクトル線の大きさ(発光強度)は試料中の元素数に比例するため、既知濃度の標準液と比較することで試料濃度を求めることができます(定量分析)。